本レポートは、厚生労働省の国民生活基礎調査(2022年)に基づき、要介護状態になる主な原因とその割合、年齢別分布、および2025年時点での介護予備軍の人数について分析したものです。高齢化社会の進行に伴い、要介護状態の実態を正確に把握することは、今後の介護政策や個人の健康管理において重要な指標となります。
上記以外にも、心疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞など)、呼吸器疾患(COPD、肺炎など)、糖尿病とその合併症、パーキンソン病関連疾患、脊柱管狭窄症、悪性新生物(がん)、精神疾患(うつ病など)が要介護状態の原因となることがあります。
特に重要なのは、高齢になると複数の要因が複合的に絡み合って要介護状態に至ることが多いという点です。例えば、軽度の認知症と関節痛があり、さらに転倒をきっかけに骨折し、一気に要介護度が上がる、といったケースが典型例です。
要介護(要支援)認定を受ける割合は、年齢が上がるにつれて大きく増加します。以下のデータは、年齢による要介護認定率の変化を示しています。
| 年齢区分 | 要介護認定率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 65歳以上70歳未満 | 1.3% | 介護が必要な人は非常に少ない |
| 80歳以上85歳未満 | 11.3% | 約10人に1人が要介護状態 |
| 85歳以上 | 59.7% | 半数以上が何らかの介護が必要 |
このデータから、85歳を境に要介護状態になる割合が急激に増加することがわかります。これは、超高齢化社会における介護需要の予測において重要な指標となります。
2025年度時点での要介護・要支援認定者数は約717万人に達しており、これは65歳以上の高齢者(約3,607万人)のうち、約19.9%に相当します。この数字は過去最多水準となっています。
| 区分 | 割合(%) | 推計人数(万人) | 説明 |
|---|---|---|---|
| 要介護・要支援 | 19.9 | 717 | 現在介護が必要な状態 |
| フレイル | 8.7~10.0 | 314~361 | 身体機能や認知機能の低下がみられる虚弱状態 |
| プレフレイル | 32.8~40.8 | 1,183~1,472 | フレイルの前段階、予防対策が重要 |
フレイルは、加齢に伴う心身の機能低下により、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態を指します。プレフレイルは、フレイルの前段階であり、適切な介入により健康な状態に戻ることが可能とされています。
これらの数字を合計すると、フレイル・プレフレイルを含めた介護予備軍は1,500万人以上にのぼる可能性があります。これは、65歳以上の高齢者の約4割以上が何らかの支援を必要とする状態にあることを示しています。
本分析結果から、以下の点が重要な課題として浮かび上がります:
要介護状態になる原因は多岐にわたりますが、認知症、脳血管疾患、関節疾患が主な要因となっています。年齢が上がるにつれて要介護認定率は急激に上昇し、85歳以上では約6割の人が何らかの介護を必要とする状態になります。
2025年時点で要介護・要支援認定者は717万人に達し、さらに介護予備軍とされるフレイル・プレフレイル該当者を含めると1,500万人以上が支援を必要とする可能性があります。これらの数字は、今後も高齢化の進行とともに増加傾向が続くと予想されます。
このような状況を踏まえ、個人レベルでの健康管理と予防対策、社会全体での介護予防システムの構築が急務となっています。特に、プレフレイル段階での適切な介入により、要介護状態への進行を遅らせることが可能であり、これが今後の介護負担軽減の鍵となると考えられます。